Takumi’s blog

文章にして輝く思い出

その2

時間が空きすぎてもう忘れそうだ。

俺の人生の主人公たる俺の物語は俺自身が文章にしなければやがて風化して無になってしまう。

俺の人生の中で起きたイベントは事細かに描写しなければならない。

それが、主人公である俺の義務だから。

 

さて、では続きを書いていこう。

 

 

俺は川越駅の交番前で高校三年生の時に同じクラスだった田中さん(仮名)と合流し、クレアモールへと向かった。

はじめ見た時、あまりにも雰囲気が違っていて大人っぽくなっていて、誰だかわからないほどだった。

初めて見る私服はとても似合っていておしゃれで、ばっちりお化粧をキメた顔は「キレイ」の一言に尽きた。

俺はその感想をぎゅっと凝縮させ、「田中さんすごい変わったね」と一言だけ、意図的に漏らした。

田中さんはそれに対し、「えー?全然変わってないよー?」と、感情を隠すように、否定した。

そしてカツカツとヒールの音を鳴らし、俺の前を歩き出した。

 

 

道中では今日行った文化祭での事や近況について話した。

前に会った時から一年半も空いてしまっていたので、正直若干の緊張はあったけれど、俺は培った社交性でそれを隠した。

向こうは緊張なんて一切していなかったように思えた。

 

居酒屋に着く。

少し奥まった席に向き合って座り、飲み物とちょっとした食べ物を注文する。

何かを話さなければならない。何を話せばいいのだろう。

話したい事はあるはずなのだが、口から出る言葉はそれとは関係のない事ばかり。

時間は進み、酔いは回る。

胸中を探られるような言葉。褒める言葉。甘い言葉。

田中さんは何が言いたいのだろう。

田中さんは何かを俺に求めているのだろうか。

そういう風にも聞こえるし、ただ励まされているだけのようにも思えた。

もう何がなんだか訳が分からなかった。

 

 考えてみれば、田中さんはまだ友達では無かった。

強いていうなればフェイバリットクラスメイトだ。

相手が俺をどう思っているかは俺には分からないし、俺がどう思っているかも相手には分からない。

それが、フェイバリットクラスメイト。

きっとそれは友情にはならない。そして愛情にもならない。

そう、それでいい。

フェイバリットクラスメイト・・・というのはきっとそういうものなのだ。

 

なんて言っているから俺にはいつまで経っても恋人ができないし、大人にもなれないんだ!って思うか?

でも、相手側の気持ちになって考えてみてほしい。

 

気の知れた友人だと思っていた異性が実は自分に下心を持って接していたなんて知ったらどう思う?

おそらく男性ならその気持ちを嬉しく感じるだろう。

けれど女性は違う。女性はそれに少なからず嫌悪を覚える。らしい。

だから俺は何もしない。

もしかしたら相手は違う事を望んでいるのかもしれないけれど、それは可能性の話だ。

俺はギャルゲーの主人公じゃない。これは紛れもないリアル。

俺が俺の物語の主人公だからって何をやってもいいという事は無いんだよ。

 

俺は主人公だ。こんな小さな事でいちいち悩んだりなんかしない。

そもそも俺に彼女など必要無いのだ!フゥーハハハハ!!!!!!

 

フゥーハハハハハハハ!!!!!!!!!!

 

 

という結論に至ったのはつい最近の事で、チェリーボーイ土屋はその翌日、「これフラグか?」「ワンチャン彼女か?」と、一人悶々としていた。

 

ゆいちゃんを誘ったら夕方に川越に来てくれるということで、それまで暇だったので俺は城本を遊びに誘って原宿へと繰り出した。

原宿はおしゃれな人と外人さんが沢山いて、俺と城本は場違い感がはんぱじゃなかった。

城本は「おしゃれなカフェに入ったら「あ、陰キャはお断りしてます」って言われそう」とか訳の分からないことを言っていた。

駅を出る時「東京メトロポリタン」という文字を見つけた俺は「東京メトロポリタンって何?」と城本に聞いてみたら、「スパゲッティだぞ」と言われて、多分、というか絶対に違うだろうけど、「ふーん」とうなずいた。

原宿の大通りの歩道は広く、そしてそこには沢山の人がたむろしている。

「こいつら何してんの」と俺。

「東京を感じてるんじゃね?」と城本。

「なるほどなぁ」と俺。

俺と、本日言葉のチョイスが冴えている城本はてくてくと歩道を歩いた。

歩いて歩いて適当な道に入ってまた歩いて行くと、ギャラクシースタジオという建物があり楽しそうだったので入ることにした。

結局、そこで2時間ほど時間をつぶすことができた。

割と楽しかった。

帰りは渋谷駅から帰ったが、人の多さが尋常じゃなくて「うわぁ都会やべえ!」と思った。

 

川越に着き城本と別れ、俺は一人まるひろへ。

まるひろの屋上で椅子に座り本を読みながらゆいちゃんとの待ち合わせまでの時間をつぶす。

なんという素晴らしい時間だろうか。

 

しばらく本を読んでいると雨が降ってきた。

俺は100均で傘を二本買って駅へと向かった。

ゆいちゃんと合流。

一言で表すなら、「美少女の権化」と言ったところだろうか。

それも、銀座とかを歩いてそうな感じの品のある美しさで、それでいて「美少女」なのだ。

もはや神と言わざるを得ない。

高1で仲良くなってから苦節5年。

何度も何度も誘い続けてようやく叶ったゆいちゃんとのディナー。

5年の間でゆいちゃんは彼氏ができ別れ、また彼氏ができ別れ、また彼氏ができた。

焼肉を食べている時の会話はゆいちゃんの彼氏ののろけ話がほとんどだったが、俺は楽しかった。

何故なら俺はゆいちゃん教の創始者だからだ。(ゆいちゃん教を立ち上げたが、会員No.002のさとうゆうじに強制脱退させられた。今はさとうゆうじが会長である)

ゆいちゃん教信者はゆいちゃんを崇拝するのが役目だ。

これはきれいごとでも何でもない。

ゆいちゃん様と言葉を交わすなんて事、本来あってはならないことだ。

それを今回特別に許可されたというのはこの上無い幸運であり、これは神の気まぐれに他ならず、ゆいちゃん様のお言葉を享受することのありがたみを噛み締める以外に俺にできることなど何一つ無いのだ。

しかしバカな事に俺はゆいちゃん様に割り勘をさせるという失態を犯してしまった。

次にお会いする際には超高級フレンチでも奢らなければ俺は間違いなく地獄に落ちるだろう。

 

という事でゆいちゃん様とお話をし、田中さんとの事も色々と話した。

「えー、めっちゃ面白いんだけど。明日も誘えよ。そんでゆいに報告して」

「仰せのままに」

 

高級焼肉食ってでかいパフェ食って散歩して川越市駅で見送った。

 

田中さんに送ったLINEの返事は「OK!明日7時ごろ川越着くよ!」だった。

 

もうそろそろ書くの疲れた。